《MUMEI》

◆◇◆

「彩貴、入るぞー?」

「入るぞー?」

 その言葉がまた終わらない内に、ぴょこぴょこと三匹の妖が入って来る。

 あの後結局、彩貴は妖に手を出す事が出来なかった。

 かと言って徘徊させておく訳にもいかず、渋々連れ帰ったのである。

「‥あまり側に寄るな、妖」

「夜桜の姫は可愛いって言ってくれたぞー?」

 そう言って一匹が彩貴の文机に乗った。
「な‥」

 まごつく彩貴を見るなり、妖は、けらけらと笑い出す。

「‥何がおかしい」

「彩貴、面白いなー」

「‥‥‥‥‥‥」

 彩貴は黙り込んだまま、側で妖が飛び跳ねるのを横目で見つつ複雑な表情で文机に向かっていた。

◆◇◆

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