《MUMEI》 第十六話:真剣な遊び「おはよう、快!」 「やっと来たか」 「おはよう」 「快ちゃん! 遅いぞ!」 翔、修、紫織、白真はそれぞれに言う。 しかし、今日はいったいなんの集まりだか快にはわからなかった。 いくら翡翠が遊ぶとは言っても、 朝の七時からたたき起こされることは滅多にない。 「ようやく集まったようだね」 「氷堂さん!」 子供達の目が輝いた。 この朝から刈りだされたのは、「TEAM」幹部クラス、氷堂仁だった。 「すみませんでした!」 快はそれだけで深々と頭を下げた。 翡翠に甘い氷堂のことだ。 間違いなく朝から遊んでくれとせがまれたに違いない。 「いやいや、快ちゃん。俺も朝からしか遊んであげられないからさ、 こんな時間に起こしてしまってすまないね」 もともとが善人顔なだけに、快はこれ以上ないおわびをするしかなかった。 それにだ。おそらく自分の父親も「遊んでやれ」と言ったに違いない。 「快ちゃん、折角なんだから早く遊んでもらおうよ! バスターにとってもいい修行になるんでしょ?」 「それは一理あるな」 白真の言葉に修も同意する。 二人の共通点は「結果オーライ」だ。 「そうそう、君達の実力を俺も知りたいしね。 じゃないと、俺がいつ隠居していいかわからないだろう?」 「隠居って・・・・まだ氷堂さん二十代前半じゃ・・・・」 紫織はつっこむ。バスターは体力が続く限り引退はない。 世の中には八十を過ぎても、現役バリバリに働くものもいる。 そして、まだ二十代後半の癖して、 現役バリバリに働いてるのかどうかも疑わしいのがこの「TEAM」の社長だ。 氷堂のいうこともあながち本気でとれないこともない。 「それで、今日はかくれんぼかい? 鬼ごっこかい? それともちゃんばらごっこかい?」 すべてが遊びのように思えるがどれも真剣になるのがここのルール。 そして決めたのが・・・・ 「氷堂さん、それ全部だ」 快は目をきらきらさせて答えた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |