《MUMEI》

『―――――』



『惇!!』





ゆっくりと瞼を開け、惇が漸く目覚めた。




そして無言のまま少し天井を見つめていたがゆっくりとした動作で俺に視線を合わせてきた。







『隆志…俺……ここは…』






『――倒れたんだ、ここは病院だよ』




『―――――』





堪らず俺は小さな手を取りギュッと握り込んだ。




そしてそのまま指先に唇をつける。












『…良かった…、
惇に合いたかった…、

惇…、惇…』




『―――ゴメンね、



隆志…泣かないで…』





弱々しい口調だけどいつもの軟らかい笑顔を作る惇。





俺の方が惇を守らなきゃならないのに、







―――そう決めたのに






惇の確かな存在を感じた途端気持ちがぐだぐだに崩れてしまった。





『隆志…、隆志…』






優しく俺を呼ぶ声も…次第に涙声になり









惇もまた目尻に涙をにじませだした。

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