《MUMEI》

◆◇◆

「‥‥‥‥‥っ」

「‥?」

 狐叉は、小さく呻くような声に気付き目が覚めた。

 傍らを見る。

 眠っている夜桜の様子が、おかしい。

「どうした‥っ」

 呼び掛けると、その姫は微かに目を開けた。

「‥‥‥‥‥‥‥」

「大丈夫か‥夜桜」

「‥‥ああ‥、すまん‥」

 力なく呟くように言い、夜桜は天井に目をやる。

 目が霞むような感覚がし、一度目を瞑る。

 再び目を開いた時、彼女の瞳には、黒い靄のようなものがが映った。


◆◇◆

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