《MUMEI》

◆◇◆

「姫に触るなぁー!」

「触るなぁー!」

 威勢よく飛び出したのは、三匹の妖だった。

 その妖達は夜桜の前に立ち塞がり、黒い靄を押し止どめる。

「お前達‥」

 夜桜は呪縛から解放されると同時に目の前の妖を見つめる。

 呪縛を使い妖気が弱まった為か、その靄が狐叉の目にも映った。

 その刹那、狐叉が青白い焔を出現させた。
 靄を取り囲み、行き場を奪う。

 だがこれだけではまだ安堵は出来ない。

 悪霊を封じるには、寄り代が必要なのである。

◆◇◆

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