《MUMEI》
『ハハッ…隆志…可愛い…』
『…バカヤロウ、余裕かましたこと言ってんじゃねーよ』
『――だって…フフッ…本当に可愛い…』
俺は惇に抱きつきながら薄い胸に頬を擦りつけ続ける。
――あったかくて
心音がして、
凄くほっとして…。
優しく髪を撫でる指先が心地よくて俺は再度、再度、抱きつき直す。
『躰の一部持ってかれた気分だったんだからな、
―――良かった…、
惇…、
良かった…』
もそもそと起き上がり惇を見下ろすと、本当にもう、笑顔に再度ほっとさせられた。
笑顔に向かい顔を近づけると惇はすうと瞼を閉じ、俺の首に腕を回した。
俺の左肘がシーツに着くと同時に唇が合わさる。
ただ、触れるだけのキスを、角度をかえることもなく、身じろぐ事もなく、何時までも続けた。
続けている間、俺は心の中で愛していると、何十回も繰り返し…、
また、惇の唇や腕からも、俺への想いがひしひしと伝わってきた。
躰を重ね、一つになる事よりも更に深い繋がりを感じる。
――……もう俺は一生こいつを離さない…。
一緒に惇の苦しみを背負う覚悟を…
強く心に誓った。
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