《MUMEI》

私の言葉に俊彦の顔が輝いた。


「じゃあ…」


「お風呂、入ってからなら、…

いいよ」


「了解!」


「キャッ」


俊彦は、軽々と私をお姫様だっこして、風呂場に連れて行った。


『お風呂ではしないでね』というお願いだけは聞いてくれたが、結局、ベッドでは、いつもと変わらなかったような気がした。


「結局…こうなっちゃうのよね…」


私は俊彦の腕の中におさまっていた。


もちろん、二人共裸のままだった。


「当然だろう?俺達ラブラブなんだから」


俊彦は満面の笑みで私の額にキスをした。


そして、私達はそのまま眠った。


翌朝、いつかと違い、私はきちんと起きて『クローバー』の仕込みに間に合うように帰る事ができた。


『もっとラブラブに慣れれば、毎日できるんじゃない?』


俊彦の言葉に、私は『それは無理!』と答えると…


俊彦は、笑顔で言った。


『仕方ないなぁー、まぁ、今は無理でも結婚したらそうなるから、ね』


ーと。


(俊彦、本気だから、…怖いなあ)


そして実はもっと恐いのは…


それに流されてしまいそうな自分がいることだった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫