《MUMEI》

「…なんかおれ、目ぇ悪くなった気すんだけど」


帰り道。


思い出したようにそう言って、
椎名くんが首を傾げる。



「―…あ、それ、私のせいだ」


「え、お前目え悪いの??」


「うん、コンタクトだよ。
…そっか、椎名くんの目だから景色が綺麗に見えたんだ」


「おれは両目2.0だからな。
…お前の視界、ぼやけてて見えづらい…」


「じゃあコンタクト、つけなきゃ」


「…………」


「…どうしたの??」


「…や、このままでいい」


「え?なんで??」


「―…あんな物体、眼球に貼り付けられっかよ…」



―…コンタクト、怖いんだ…



椎名くん、かわいい…!!




いつもの帰り道。

他愛もない会話が、妙に心地よかった。

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