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《MUMEI》 ◆◇◆ 「姫君」 月裔が呼び掛けた。 夜桜は後ろを振り返る。 「どうかしたか、月裔」 「付かぬ事をお聞きしますが‥」 「ああ」 「姫君は‥妖を恐れてはいないのですか」 その問いに、夜桜は哀愁を帯びた眼差しを月裔に向けた。 「私は‥妖は傍らにいて当然なものだと思っていた。私の側には、常に妖がいたから‥。だが彩貴やお前のように妖を恐れる者もいる‥」 そう呟くと夜桜は、月裔に側に寄るよう言った。 月裔は不思議そうにしながらも、彼女に近付く。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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