《MUMEI》

◆◇◆

「───────」

 温かい。

 それが、月裔の真っ先に浮かんだ答えだった。

 眩い程に白い毛並み。

 それは、人肌の如く温もりを帯びている。

「何か‥感じないか」

「温かい‥」

 夜桜は安堵したように微笑を浮かべた。

「狐叉だけではない。黒手毬や‥他の妖達も同じだ」

「ですが‥‥」

 ああ、と夜桜は頷く。

「たまに悪さをするものがいないとは言えない。‥それでも私は‥‥妖は愛(いつく)しむべきものであると思いたい」


◆◇◆

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