《MUMEI》

「金の為に来たのか?」

父さんが初めて口を開いた。

「そう問われても仕方ない事をしてきたと思っている。
俺はまだ餓鬼で、プライドと意地の塊みたいだった。
本当は父さんや母さんに謝りたかったんだ。」

今日の俺は素直だ。

「……もう、いいのよ。
私達も、国雄も十分苦しんだわ。」

母さんは、白髪や皺が増えていた。

「お前は、人を騙したか?」

父さんも随分年を取った。

「騙してはいないけど嘘はついた、でも此処最近は正直に生きていたつもり。」

「お前を父さんと重ねていた。金髪ではなかったのにまだ、似ている。」

「ジィさんと俺は淋しがり屋みたいだから。」

愛がないと生きていけない。

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