《MUMEI》

「国雄はお金渡したい訳じゃないです、会うための理由をつけたかったんですよ。俺を迎えに行くのと、お金渡すという。」

光が、1番素直だな。

「そう、そうだね。
私には義父さんよりこの人の方がよっぽど似てるわ」

父さんと俺が?
母さんは何を言い出すか。

「……ふ、」

幹祐め、吹いたな。

「俺…………ちゃんと、ホスト辞めて就職先とか見付けたらまた顔出しに行くから。」

いつか、辞めるのは決めていたことだ。

「辞めちゃうの?!」

光にはまだ言っていなかったか。

「……あと6年は頑張るつもりだけど。」

光が社会人になるまでは踏ん張らねば。

「夏場は人手不足だからな……農業手伝う覚悟があるなら来い」

「……父さん」

確かに本心を話せないところは似ている。

「俺、農家にはなりたくないんだ。」

つい、口が滑った。

「俺は興味あるけど。」

光に農業は向かないだろう。あれは、カメラに映える。

「高遠君も来なさい。」

母さん余計な事を言うな。

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