《MUMEI》
押し入れ
「ちえっ、なんだよ、アイツ。いい奴だって 思ったのにさ。」
暗が 言った。


「馬鹿ね、人間は そう簡単に 神の存在なんて 信じないものよ。まったく〜解ってないのね、ねっ お姉ちゃん。」
悲が 哀を見る。


哀は 無言で 自宅アパートの 押し入れを 睨んでいる。


悲も暗も 押し入れを 見詰めた。


暫くして…


「お姉ちゃん、居ないみたいだよ。」
悲が 呟く。


「そう みたいだね。」


哀が 二人に 頼みがあると 切り出したのは、その直ぐ後の事だった。


二人は 頷いた。後、


「ねえ、暗 どっちにいく?」


「不運の方…。」


「じゃ、私は 幸運ね。」


「二人共、なるべく 早くね。」


「うん、じゃ明日ね。お姉ちゃん。」


二人は 哀に 手を振り、先程の 押し入れの 中に 入っていった。


暫くして 二人の姿は 消えた。

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