《MUMEI》

「ご飯どうする?」

安西の背中を借りてちょっと回復した。

「あれ……ちょ、」

こっちから声をかけてしまったので七生が動揺している。何か言いたいようだ。
まじまじと見られた。

「何か付いてる?」

とかね……。
今はどう口に出していいか分からないから全ての罪悪感を取り払い対応する。

「昼は焼きうどん……晩御飯はカレーライスだから。」

七生の顔が引き攣ってしまわれた。

「辛いの苦手だなあー……、七生のおじさんのは別だけど。」

七生の父カレーは何かと思入れが深い。





「せんぱーい、リス居ましたよリス!」

佐藤が呼んでいる。

「え、どこどこ!」

七生がまじまじと見つめるのに堪えられずタイミングを図って逃げようとした。

七生に手首を掴まれ制止される。

「夜……一時半に、湖のとこで待ってて」

耳元へぐっとくる渋い声で囁かれた。

何も言えなかったが、七生の手が離れたときには自然と足が佐藤の方へ向いていた。

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