《MUMEI》

土曜日。


「8強って言っても特別いい環境って訳でもないんすね。」


俺たちは予定通り赤高に来ていた。


「まぁホントに設備整ってるのは、聖龍とか海南とかだよ。」


「へ〜。」


全員が集合してから、中へ入る。


「よろしくお願いします!!」


あいさつを済ませ、着替えを始める。


「更衣室もね〜のかよ…。」


「八嶋。愚痴が多い。」


「すいませ〜ん。」


準備を済ませ、アップを行う。


相手もアップをやってる。


確かに上手そうだ。


(あれが先輩の言ってたキーパーだな…)


確かにヤツは上手いな。
動きでわかる。


さて…


どうやって攻めようか…。


「集合!!」


「はい!!」


「知ってると思うが赤高は夏大会でも優秀な成績を納めたチームだ。油断するなよ!!」


「はい!!」


「あっ、そうだ八嶋。」


「?、なんすか?」


「お前に付く相手の左サイドな、」


「はい。」


「ハンドボール初めて半年足らずの選手だそうだ。」


「へ〜。」


「公式戦の経験はまだないらしい。」


「完全な素人だな…」


「とはいえスタメンに起用されてるんだ。何かある。気抜くなよ。」


「はいはい。」


素人かよ。


ま、人数が多いわけじゃないみたいだしな。


経験積ませる為のスタメンだろ。


素人メンバーの中でちょっと出来るくらいのヤツが大体この時期から使われ始めるんだ。


と、言ってもハンド経験半年足らずじゃな。


可哀想だけど、俺の敵じゃない。


今日の俺の敵はあのキーパーだ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫