《MUMEI》

しかしこの環境がサトルをダメにしていた。この環境とはこのゲームに囲まれた環境。そしてそれなのに生活に困らない親に保護された環境である。
いつ親の保護が受けられない時が来るかわからない。そんなことはわかっていたのだが、その時は永遠にこないような安心感をサトルはずっと捨てきれないでいた。

「・・・」
虚しかった。
最近はこの「友達」が人生を踏み外した原因に見えてくるのだ。
おもむろに見たカレンダーには誕生日の日付に印がつけてある。
「もう22だもんな、そろそろやめないとな・・」
その時サトルは強く決意した。もうこんな生活からは足を洗うと。そして部屋を片付け始めた。


正午に始めた片付けも気付けば夕方まで長引いていた。

「ふぅ」
なぜだかとてもいい気分だ。
これからは真面目に働こう。
そう思っていたのだが、サトルには一つだけ気がかりなことがあった。それは今日買ったゲームである。これはまだやっていないので中身がわからないのだ。

「・・・これで最後だ」
やり納めだと自分に言い聞かせゲーム機の電源を入れた。


次の日、サトルはゲーム機の電源を入れたことを底なしに後悔していた。やはり今回もサトルを満足させられるものは

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