《MUMEI》 ◆◇◆ 彩貴が振り返ると、妖達は廊下の中央に躍り出、綺麗に横一列に並んだ。 「何だ、俺は急いで‥」 彩貴が言いかけると、右端の一匹が、ぴょこん、と前に進み出た。 「おれ達、姫に名前もらったんだぞー?」 言わずもがな、彩貴は唖然とした。 「名前、だと‥?」 うん、とそれは頷く。 そして、三匹は順に名乗りを上げた。 「おれは雪兎ー」 「おれはな、琥鬼っていうんだー」 「おれは風牙って名前ー」 「‥‥‥‥‥‥‥」 「だから、妖じゃなくてこれからは名前で呼んでくれよな?」 「断る」 即答。 「ええーーーーー?」 三匹は至極残念そうに、口を揃えて言った。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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