《MUMEI》
ヒロコ
ヒロコは考えていた。
自分はこのままで良いのだろうかと。少なくともちょっと前迄は完璧だと思っていた。
県内トップの高校に進学し恐らくこのまま行けば志望大学も楽々通るだろう。それなりの仕事に就く自信もある。
世の中ではこれを幸せと呼ぶかもしれないが、ヒロコ自身は幸せを感じた記憶がないのだ。
今となっては先ほどの「完璧」が何に対する「完璧」だったのかわからなくなってしまっていた。
「どうなるんだろう、私」
正直もううんざりだった。
しかし今日の今日まで頑張ってきた勉強を捨てるのも癪なのだ。

「全部お兄ちゃんのせいだ。お兄ちゃんがあんなんだから・・私だけこんな・・」
ヒロコはそれ以上は口に出さなかった。

そして1つ閃いた。
自分は勉強しなければならない。でも遊びたい。ならば勉強と遊びを勝負させればいい。

方法は簡単である。あのバカ兄をゲームで対決してぶっつぶすのだ。

「絶対にあんな奴に負けないんだから」


ヒロコはとても懐かしい心の高ぶりを感じていた。

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