《MUMEI》
仁田
葵の上に中年の男が覆い被さって来て初めて、葵が恐怖で悲鳴を上げた。
初めて見る葵の一面に、教師も少し、欲情する。
そして、葵に近付いた瞬間、教師の胸に穴が開いた。
次に、慌てて起き上がった中年の男の頭が半分なくなった。
残り2人になった中年の男は、慌てて部屋を出ようとしたが、一人は肺を、もう一人は心臓を、弾丸が貫通して絶命した。
葵の上に死体が崩れ落ち、白いシャツは真っ赤に染まった。
胸に顔をうずめて、飛び散った脳漿が、制服にこびりついている。
「ひ…っ。ぅあ。」
恐怖と吐き気が一気に込み上げる。
のしかかった死体から抜け出すと、床にうずくまって嘔吐した。
まだ事態が掴めない。
逃げなきゃいけないのに、体は硬直したように動かない。
その時、玄関が開いて、スーツを着た男が入って来た。
死体を見ても、全く動じない男。
葵は無意識に、その男を直視していた。
「今日からは自由だ。警察が来る前に逃げろ。」
男はそう言って、葵にスーツの上着を被せると、まだ少し息をしている教師の頭に一発撃ち込んで、とどめを刺した。

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