《MUMEI》

            :
            :



「危ないから近づかないで下さーい!


…下がって、下がってー!」



「おい、見えねーよ!」


現場には消防士の制止の声と、野次馬の怒号が響いている。



武が現場に着くと、既に消防による放水が始まっているところだった。



「どいてくれ!友達の家なんだ!…通してくれ!」



武は、ひしめく野次馬をかき分けて、非常線が張られる最前列に出た。



そこで目に飛び込んできたもの――…



「――…嗚呼…なんてこった…。」



武は目を丸くして愕然となった――…。

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