《MUMEI》

◆◇◆

「姫っ!?」

 雪兎、琥鬼、風牙が同時に叫んだ。

 あまりに突然の事だった。

 大鬼は夜桜を捕らえたまま自分の方へとそれを引き寄せる。

「‥っ!」

 これでは手出しをするなという方が無理だ。

 その手は、容赦なく夜桜の華奢な体を締め上げる。

「ぅぁ‥‥っ」

「姫‥!!」

 耐え兼ねた三匹が飛び出そうとする。

「‥‥手を‥出すな‥っ!」

 夜桜が呻くように声を絞り出した。

「だけど‥!」

 三匹は引き下がらない。

「下がれ‥っ!」

「!!」

 あまりの剣幕に、三匹は後退る。

 夜桜が言わずとも、誰も手を出せずにいた妖気が邪魔をして、彩貴も、月裔も、狐叉ですら、それ以上近付く事が出来ないのである。

◆◇◆

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫