《MUMEI》

「シャワー貸してやる。」

「触るな!」

俺の履いていた下まで脱がせようとしたので蹴り上げた。

「……だって片手使えてないし」

「片手は使えてるんだよ。取り敢えず、折角だからシャワーは借りるし。
脱ぐのは自分でやる。
あんた……エート……」

名前何だろう。

「…………………………………………………………………………………………………………是清……」

静止画像でも見ているような間だった。

「――――――ブッ、何そのやんごとなき名前……」

コレキヨって、一人称麿とか言う貴族や武将の名前みたいだ。

「やんごとなくない!
若い奴ってどうしてこう人を傷つける罵り方するかな!嗚呼、そうですね、テメーの名前はさぞや素晴らしいんでしょうねえ?」

是清は半泣きで叫ぶ。名前にはコンプレックスを抱いてようだ……。

「甲乙の乙に矢文の矢でオトヤですけど。」

確かに、是清よりは優越感だ。

「なんだよ、体だけじゃなくて名前までカッコイイのかお前はあ!」

両乳首を抓られた。

「未成年誘拐で訴えますよ。」

無性に腹立たしくて殴ってしまいました……。

「こっちこそ不法侵入と暴行で訴えてやる」

是清も負けじと言ってくれる。
よく見たら口を切っていたようだ。

「……口が……ごめんなさい。」

酔っ払い相手にやり過ぎた。

「可愛く言っても許さんからな……いいからそのゲロ臭落としてこい。」

可愛いって……?

勝手に吐いたのは向こうだし。

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