《MUMEI》

いつの間にか武の頬を流れていた涙の跡を、暮れてゆく夕陽が照らし出していた……。



やがて―――…



「うぅッ」…ブルブル…!



武は、深秋の肌寒さに、ようやく我に帰った。



そして、家路につこうかと辺りを見回したとき――…



「――…あれ…!?」



武はある大切なことを思い出した。



「――…ジャイ子…あれ?…ジャイ子は!?」



一緒に家を出た筈の妹の姿が、忽然と消えていた――…。



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