《MUMEI》
『まだ今横浜だってさ、は〜…ほっとした〜』
今コンビニで買ったサンドイッチを頬張り、ミネラルウォーターのキャップを捻る。
何だか今日は幾ら水分補給しても喉の渇きがいえない。
一気に半分以上減ったペットボトルをドリンクホルダーに差し、久しぶりに煙草をくわえる。
『――ね、隆志さ…』
『ん?』
ペリっとサンドイッチを取り出しながら惇は手元を見ている。
『――裕斗の事…まだどっかで意識してる?』
『は?…――
…何言ってんだか…してる訳ねーじゃん…』
『うん…、ゴメン』
惇はぱくっとサンドイッチを頬張りだす。
俺はまたホルダーからペットボトルを取り上げた。
――正直今ちょっと…ドキッとした。
もう恋愛感情はまるでない、それは断言出来る。
――しかし躰を重ねてしまった事実は簡単には消す事は出来ない。
だって…躰を重ねた同士特有の馴れ合いはどうしたってでてしまうから。
ふと、自然に肩に手を乗せてしまうし、裕斗も俺の腕を当たり前の様に掴んできた事もあった。
もし、ふとしたきっかけがあれば、二人ベッドに沈む事がないとも言えない。
しかしそれは葵にだってあてはまる事だ。
――だって俺は…そんなに強い人間じゃない…。
『なんで裕斗は伊藤さん選んだのかな…、隆志の方が全然格好イイのにね…』
『―――』
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