《MUMEI》 十二夜 思はざること◆◇◆ 「───────」 目を開けた時、夜桜は寝床にいた。 起き上がろうとしたが、体に力が入らずそれがままならない。 頭に鈍い痛みが走り小さく呻くと、若人の声が夜桜の名を呼んだ。 夜桜はやっとの事で顔だけをそちらに向ける。 「彩貴‥‥ずっと‥此所にいたのか‥」 「‥馬鹿者。自分の命を自ら危険に晒す奴があるか」 「‥‥‥‥‥‥」 夜桜は何と答えたらいいものか分からない。 気分はさほど悪くはないものの、彼女にはただ一つ、気掛かりな事があった。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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