《MUMEI》

◆◇◆

 再び頭痛がし始め、夜桜は考える事を止めざるを得なかった。

「‥‥‥‥‥‥」

「痛むのか」

「いや‥違‥、‥‥っ」

 そこまで言いかけ、夜桜は妙な感覚に襲われた。

 まだ妖気が抜け切らず、染み付いている事に気付く。

「暫くは寝ていろ。回復には時間がかかる」

「‥‥‥ああ」

 傍らに妖達がいないのも、恐らくは彩貴の気遣いなのだろう。

 今の夜桜がこれ以上妖気に触れたらどうなるか、彼女自身もそれを分かっている。

 だが、蟠る孤独感を否定する事は出来なかった。

◆◇◆

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