《MUMEI》 弱さ 〈私〉椎名くんは、 私をママに、ゴジラに、会わせてくれた。 ママの声が、ママのケーキが、何だか懐かしくて… 私は、 泣いてしまった。 椎名くんの姿で泣くわけには行かないし、 なにより―… 椎名くんを、困らせたくなかった。 …なのに。 椎名くんは今、私に謝っている。 「おれ、なんも分かってなかった。…ごめん!!」 椎名くんは、何一つ悪くなんかないのに。 無理に作った私の笑顔を見て、 椎名くんは何かを言いたそうに顔を歪めたけど、 私は、 「…じゃあ、また明日ね!!」 そう言って、逃げるようにその場を立ち去った。 椎名くんを困らせてしまう。 …自分の弱さに、腹が立って―… また、涙が出そうだったから。 前へ |次へ |
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