《MUMEI》

私は、おばあちゃんの荷物を一つ持ち南口へ向かった。


「もう少しで着くからね」


そう声をかけると、横から男性の声がした。


「ばあちゃん!!!」


「あぁぁぁ…隆二ぃ〜」


背の高い私と同じ年くらいの男性が走ってきた。


「南口で待ってても出てこないし、どうしたのかと思って心配したよ。大丈夫だった?」


「大丈夫なわけないよ!右も左も分からなくって、それにみんな不親切だし…」


そこまで言って、


「でも、このお嬢さんが声をかけてくださってね…」


おばあちゃんは嬉しそうに私を見て、


「孫の隆二です。今日はこの子に会うために田舎から出てきたのよ」


と、意外にも素敵な男性であるお孫さんを紹介してくれた。

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