《MUMEI》

(おいおい…)


試合は後半になっていた。


(嘘だろ…)


ここまでの八嶋の得点は1点。


(こいつマジ速い…)


八嶋は点を取れないどころかほとんどパスが回って来なかった。


ハンド経験の長い八嶋は上手い相手に対し動けないことなどよくあった。


しかし、今の自分の相手はハンド歴半年足らずの相手。


初めて味わった屈辱だった…


「ピーッ!!」


「28対7で赤城北高校の勝ち。」


「ありがとうございました!!」


フォーススコア。


1時間も試合して10点も取れない。


散々な結果だ。


「くそ!!くそ!!」


こんなに悔しい思いは初めてだ…


「…」


さっきのサイドが俺を見てる。


「おいお前!!」


「え?何?」


「お前名前は?」


「黒田小太郎。」


「黒田小太郎!!次は負けね〜!!」


「はぁ…」


これがクロと八嶋の出会いであった。

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