《MUMEI》
臨時営業
日曜日の夜は、『クローバー』は営業はしないのだが、今日は、『赤岩』の関係者の為に特別に臨時営業する事になった。


その表向きの名目は、『クローバー』で出す新作パフェの試食会だった。


何故なら、そのパフェは、一番下には黒糖ソース・次に蕎麦茶ゼリー・更にその上に蕎麦アイスを乗せ、蕎麦かりんとうをそえた定番の抹茶パフェとはかなり異なる和風パフェだったから。


「急いで考えたにしては、上出来じゃない?」


一足先に試食した咲子さんの感想に、私がホッとしていると…


「こんばんは〜、来たよ!」


勇さんを先頭に、『赤岩』の営業と夕食を食べ終えた赤岩家の人々と、律子さん・…そして、理美さんが…

「…て、何で俊彦が来てるの?」


私は、理美さんの後ろから、当たり前のように入ってきた俊彦を指差した。


「だってぇ〜、蝶子が『今日は来れない』って言うから、…来ちゃった!」


「『来ちゃった』じゃない!」


(今日は理美さんの為に集まってもらったのに…)


何も知らない俊彦に邪魔をされたら困る。


「嬉しくないの?」


「そういう問題じゃない…」


悲しそうな顔をする俊彦を見て、私はため息をついた。

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