《MUMEI》

「生クリーム、しつこくありませんか?」


私の言葉に、勇さんの両親は首を横に振った。


「悟はどう思う?」


「理美の意見に賛成」


そんな私達のやりとりに、唯一律子さんはついていけない様子で、ポツンとしていた。


「律子さん、いくらならこのパフェ頼みます?」


「え? ええと、そうねぇ…600円か、出来れば500円位…」


(ギリギリだなぁ)


律子さんの意見に皆が首を捻った。


「あの…すみません。私…」


「いいんだよ、りっちゃん。蝶子ちゃんは一般的な意見を聞きたいんだから、ね?」


勇さんの言葉に私は頷いた。


私と咲子さんは、律子さんには、『普通のOL』としての意見を求めていたから。

(そうだ…)


私はあるアイデアを思いついた。


そして、残っていた材料で、もう一つパフェを作った。


今度は、生クリームとチェリーも添えて。


ただし、先程より、小さめの器を使用して。


そうして、出来上がった『ミニパフェ』を、私は皆に確認してもらった。


「これなら、450円位で出せますけど…」


私の言葉に、全員が『それ、いい!』と叫んだ。

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