《MUMEI》 (確か、ドアの近くにクッションがあった、はず…) さすがにベッドまでいくのは危険だと判断した私は、ドアを小さく開けて手探りでクッションを取ろうとした。 私はドアをそっと押した。 …はずなのに、一気にドアが開いた。 (え?) あまりの勢いに、私はうつ伏せで倒れた。 「痛っ…」 「だ、大丈夫?」 顔を上げると俊彦の顔が目の前にあった。 俊彦は屈んで私を見つめていたのだ。 「うん、…何とか」 私は体を起こして立ち上がった。 俊彦も、立ち上がり、笑顔になった。 「じゃあ…」 「だ、だ…」 (大声出したらダメだよね) 私は慌てて声を小さくして、『ダメ』と言った。 「…聞こえない」 (絶対聞こえてる) 私の後ろのドアは、いつの間にか閉まっていた。 「俺、思ったんだけど、結婚したら、多分こういう状況よくあるよね」 『こういう状況』 私は意味がわからず首を傾げた。 「まぁ、座って」 「私の部屋なんだけど…」 不満を訴えると、俊彦はベッドに勝手に腰かけて、『じゃあ、好きなところに座って』と言った。 私は、少し離れた机の椅子に座った。 前へ |次へ |
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