《MUMEI》
ズット……
オレは月岡さんを下まで送るため、一緒に部屋を出た。

「本当にすみませんでした。驚かせてしまって」

「いやいや、オレの方こそ怒ってしまってすまない。みっともないところを見せてしまって……恥ずかしいよ」

そういえば月岡さんが怒っているのを見るのは初めてだ。

いつも笑っていて、優しくて温厚な姿しか見たことなかった。

――オレ達のことを想ってくれてるんだな。

一回りくらいしか年は離れてないけど、オレ達の親代わりって言うか、ひとりでも頼れる人になってくれようとしている。

「月岡さん」

「ん?」

「ずっとオレの、いえオレ達のマネージャーでいてください」

月岡さんの顔がいつも見るような優しい笑顔になった。

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