《MUMEI》

「氷室さまあああああ ごめんなさいいいいいいい」

廊下の端から端まで絶叫した。
抵抗してしまうが氷室様の力は強力だ。

どうやら氷室様は屋上の鍵を持っているようだ。

襟首からぶん投げられた拍子に眉毛が発毛しクッションになった。

「眉、切ってやるよ。」

氷室様はカッターを取り出しおもむろに眉を切り始めた。

「はわ わ わわ わ わわ わ……」

なんという切れ味の良いカッターなんだ。
たまに刃が思ってないとこに当たるのが怖い。
また、発毛しそうだ……

「大きいやつと小さいやつ、どっちだ?」

眉毛を切り終えると舌切り雀の詰問(質問というには強すぎる威圧)をされた。

「えーと、小さいやつで?」

この場合、小さいつづりに宝が……。

「あは、残念ながら今日は大きいやつしかないんです。」

氷室様の満面の笑み……初めて見た。
カッコイイじゃないか。

うん、それと一つしか選択肢無いのに聞く意味は何処にあるのか?

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