《MUMEI》

切られた眉毛で後ろ手に縛られた。

「口を開け。」

氷室様に言われるがまま口を開けた。

頬の辺りに何か金属な物が取り付けられた。
ネジで調節している。

「もがっ……」

口が全開に開かれ顎が外れてしまいそうだ。

前の歯と下の歯に太いワイヤーみたいなのが嵌め込まれた。

「……っふ!」

手摺りから僅かに映る自分の顔に驚く。

「ふーん、虫歯は無いのか」

ペンライトで喉の奥まで見られる。

「ホラ、口の中洗浄。」

ペットボトルの水を取り出した。
氷室様の鞄の中にはなんでも入っている。

「 ン゛ン゛ー! ガッ 」

無理矢理開かされている口内にミネラルウォーターを流された。

口の端から漏れたのはもう唾液なのか水なのか涙なのか鼻水なのか分からない。

「 ハッ、ハァ、ハ……」

制服が水浸しだ。

「よし、今日はずっと開口器つけたままでいろよ。」




この金属はカイコウキと言うのか……

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