《MUMEI》
理由 〈おれ〉
「パパ、今日も仕事だって」



蓬田ママは、少し呆れたように言う。



「最近はもう、朝ごはんも3人で食べなくなったわね…
パパ、かなめとは、今までも朝しか会えてなかったのに…」



おれは、晩飯を食う手を止めて、蓬田ママを見上げた。


やっぱり、淋しそうな表情。


おれは、少し哀しくなった。



…似てるんだ。


―…あの頃の、おれのおふくろに。



それから。


蓬田が、なんでわざわざ早い電車で学校行くのかも、分かった気がする。



―…2人は、夫の、父親の帰りを待ってるんだ。

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