《MUMEI》

俊彦は、私がその役目を果たしているのが不満らしく、祐介さんと勇さんを睨んでいた。


「大変ね、蝶子」


最後に来たのは愛理さんと相田さんだった。


「あ、すみません、挨拶に行かなくて。
婚約、おめでとうございます」


「「ありがとう」」


二人は笑顔で答えた。


相田さんと愛理さんは、相田さんが転勤する前の二月に挙式予定で、その時に婚姻届けも提出する予定になっていた。


私は、歌穂子さんと律子さんに、二人の事を説明した。


「蝶子の説明は、丁寧だからわかりやすいでしょう?」


愛理さんの言葉に、二人は頷いて、祐介さんと勇さんの説明がいかに適当でわかりにくいかを力説し始めた。


「それは、赤点だな」


相田さんは先生らしい発言をした。


「ちなみに蝶子は?」


「満点」


その言葉に赤くなる私を、俊彦が抱きしめると、『風紀で減点』と苦笑された。

「いいよな、皆ラブラブで」


そう呟いたのは、年下の彼女がいるはずの有理さんだった。


「連れてくれば良かったじゃない。それとも、犯罪的な年の差なわけ?」


「いや、今、十八」


「私と一緒だ」


歌穂子さんが声を上げた。

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