《MUMEI》

真夏の太陽が頭上を支配する午後、

オレは初めて父に逢った。


頭を丸め、無精髭で覆われた姿。


オレを確認し、

力強く頷く姿。


記憶の中のどの場面よりも、別人に見えた。

父が長き刑期を、

その人生時間を償いの限り尽くせる様願う。





運命は酷く曖昧だ。


信じなくても人生は時として華やぐ。



願わくば、失わない世界へ。




母へ届け。

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