《MUMEI》

「「へ?」」


突然俊彦に指名された祐介さんと勇さんは、間の抜けた返事をした。


「今日は特別だからね」


雅彦が笑う。


「まぁ、俺達のかわりには本当は役不足だけど、譲ってやるよ」


和馬は悪戯っぽく笑う。


そして、孝太が命令した。

「ひざまずいて靴を変えろ」


ーと。


一瞬、会場が静まりかえった。


しかし、それは一瞬で、すぐに会場は笑いと悲鳴に包まれた。


「春樹、カメラ持ってきて」


「了解!」


瞳さんの言葉に春樹さんは素早く動いた。


悲鳴を上げたのは、祐介さんと勇さんで


歌穂子さんと律子さんは固まっていた。


「イベント終わらないとデザート出せないからね」


さりげなく咲子さんが催促した。


「私も婚約記念に靴買えば良かったな…」


「私も…出前もっとやれば良かった」


呟く愛理さんと理美さんの隣で、相田さんと悟さんは、明らかにホッとしていた。


結局、祐介さんと勇さんの震える手で、歌穂子さんと律子さんの足に秋色パンプスが履かせられたのだが…

二人がひざまずいている写真は、当然のように来月の行事の『罰ゲーム』用に瞳さんが管理することになった。

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