《MUMEI》
十四夜 境を彷徨ひけるは
◆◇◆

 子の刻。

「あれー?」

 ふと風牙が辺りを見回し、きょとんとする。

「彩貴はどうしたー?」

いつもならまだいるはずの、若人の姿がない。

(もう出掛けたのか‥)

夜桜は妖達の相手をしてやりながら、些か不安だった。

だが、まだ外出の許可は下りていなかった為、様子を探りに行く訳にもいかないのである。

◆◇◆

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