《MUMEI》
文芸部部員
「明石ー、ちょっと来い」

楠先生は文芸部と新聞局を掛け持ち顧問してくれているまだ若い新婚の古典教師である。

「はい、なんでしょうか。」

最近は氷室様のお陰で直ぐさま呼ばれたら反応してしまう。

「いや、明石はよく頑張ってくれているし本が好きみたいだからな。読書感想文のコンクールでも出してみたらどうかと。」

「読書感想文ですか……楽しそうですね、考えてみます!」

「タマ!」

氷室様が3メートル先で読んでいたのでプリントを貰い駆け出す。

「タマは文芸部員だったな。」

持っていたプリントを奪われた。

「あの〜、氷室様、感想文を書きたいので暫く放課後は部活に出て宜しいですか?」

聞いてみた。(恐る恐る)

「誰がいつ反対した?」

良かった、今日の氷室様はごきげんだ。

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