《MUMEI》

「何読んでいたんだ?」

氷室様に僕の本を持ち上げられた。

「江國香織さんの……」

「殺し合ってちゃんと最後には主人公以外全員死ぬのか?」

「死にませんよ!」

そんなスプラッタホラーではない!

「何?!
殴り合って骨の一、二本は折れるんだろうな!」

「折れませんよ!」

表紙からしてそんな毒々しい物ではない。

「タマ!
お前には一度きちんとペットらしい読書感想文の書き方を叩き込まねばならないな!」

氷室様の瞳が眼鏡の奥で鋭利に輝いた。

悲鳴さえ喉に詰まって出てこない。

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