《MUMEI》
決断
彼の入院のことでしばらく落ち込んでいた私のもとにまたしてもまさかの知らせが届きました。
父が埼玉県に転勤になるため、学校をどうするか決めてほしいということでした。私はかなり悩みました。この学校には長年一緒だった友達が沢山いるし、寄宿舎に入っているから大丈夫かなあという気持ちでした。
一方その裏ではここにいても本気で話せる人は彼だけだし、歩行もそんなに教えてもらってない、だったら思い切って学校を替えて心機一転やり直してみようという気持ちもありました。
沢山迷った結果、弟も転校するんだから私も転校して女の子の親友を捜してみよう、と決断しました。
転校は中学二年の五月半ばでした。
転校前に入院中の彼に会いたいと思っていたけれど、面会禁止の病院だったので、転校のことを手紙で伝え、複雑な気持ちを引きずりながら茨城を去りました。

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