《MUMEI》

「あんた、そんなんだからいつまでたっても幸せになれないのよっっ!」


他人事のはずなのに、ヒデさんは自分のことのように怒っている。


「ほら、何年か前の彼氏…なんだっけ名前?」


「田中なんちゃら?」


ヒデさんが考え込む前にアシスタントの吾朗くんが、すかさず答える。


「そうそう!田中なんちゃらよっ!!」


田中“なんちゃら”って…


「田中だって結局エリカに取られちゃって…」


「あれは田中君がエリカのことを…」


私の言葉なんてヒデさんは聞こうともせず、


「最初っかっらエリカは計算してたのよっ!!ムカつくわぁームキィーッ!!」


なんてハサミを振り回して大爆発(@_@)


「ヒデさん…落ち着いて」
「店長、鼻息荒いっす!」

私と吾朗くんはヒデさんの怒りを鎮めようと必死だ。

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