《MUMEI》 紅い液体が点々と続いている。 「なにこれ……うわっ」 寝室の床でワインの空瓶発見。 犯人、枕にて撃沈。 「何故飲むんだ?」 頭イカれてるな……。 赤ん坊のように眠ってる。 黙って汚れたフキンを雑巾にして拭いてゆく。 コイツの召し使いか俺は? 「勿体ないー。」 床を嘗めながら俺の逆進行で部屋から出てくる。 「汚いから止めろ!」 スライディングした是清の白いシャツは赤ワインに染まった。 俺の膝目掛けて突っ込んでくる。 バシッ 「痛いー!」 是清の頭を殴ってしまう。 「お前は白い服に出来た染みを落とす苦労を知れ!」 コイツの優雅な住まいからして、絶対このシャツを捨てる事にムカついた。 「……くっ、」 是清は踞って震え出した。 「待て、吐くなよ!」 腕を持ち上げようとしたら逆に引っ張り込まれた、片手さえ動かせれば違っただろう。 ワインの匂いで口が充満した。 「…………最悪だな、キス魔か。」 何度も何度も、口を拭った。 「酷いな、不潔みたいに」 ゲロしてたくせに何を言うか。 是清がほろ酔い顔でにんまり笑ったのが一層、苛立たせる。 「好きでもない相手に出来るなんて」 名前しか互いに知らないのに。 「好きだよイイ男は。」 「徳和に言ってろ」 わざとにその名前を出してやる。 前へ |次へ |
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