《MUMEI》
二分の一の確率
そんなある日。


(ん?)


私は、咲子さんが『クローバー』の厨房に貼った運動会のポスターを見て、首を傾げた。


そこには、去年と同じように、女性陣とアクセサリーについての注意書きがあったのだが…


文章は、『ただし!』と続いていた。


そして…


『身につけるアクセサリーは一種類のみ!それ以外は失格になります、要注意!』


とあった。


(これって…つまり)


私は去年のきらびやかな女性陣の姿を思い浮かべた。

(あんなふうに、選ばれる確率を上げようとして、アクセサリーを着けたらダメって事、よね)


「考えたわね、瞳も」


考え込む私の隣で、咲子さんが感心していた。


「そうすると、指輪率高いわよね」


咲子さんはいつもはめている結婚指輪を見つめた。


「やことせいこに別の着けさせて、確率上げようっと」


そして、咲子さんは私に向かって『負けないわよ』と悪戯っぽく笑った。


衛さんが勝つと、その権利は勇さんに渡る。


勇さんは、俊彦が嫌いではないが、…


(嫌がらせはするかも…)


私は日頃の二人のやりとりを見ていてそう思った。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫