《MUMEI》

私と俊彦は、運動会前日までアクセサリーについて悩んでいた。


『何にするか』


ではなくて


『どちらにするか』


について。


私がいつも身に付けていたのは、『指輪の付いたネックレス』だったから。


もちろん、アクセサリーは指輪やネックレスだけではないから、選ばれない可能性もある。


しかし、もし、指輪にしてネックレスだったら…


又は、その逆だったら…


かなり、悔しい。


私達は悩みに悩んで…結局、『ネックレス』にしたと、実行委員長の瞳さんに告げた。


そして、運動会の日を迎えた。


当日になり、競技が進むにつれて、私達は重大な事実に気付いた。


それは、現在俊彦とトップ争いをしている雅彦が、誰の『協力者』にもなっていないという事実だった。


「結子!お願い!」


結子さんと仲の良い麗子さんが協力を求めた。


「え〜、でも、孝太君には三人『協力者』がいるでしょ?」


そう言って、結子さんは瞳さんの元に行き、順位を確認した。


「…祐介にしようかな」


祐介さんは、現在最下位独走中で、『協力者』も、予想外に苦戦していた。


そして、最終レースの時を迎えた。

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