《MUMEI》 私は二人の大きなお腹を見つめた。 「じゃあ…何で…」 『よく聞け皆の衆!』 (え…) スピーカーから聞こえてきたのは、去年、最終レースのアナウンスをした倫子さん …ではなくて 最年長のヨネおばあちゃんの声だった。 (そっか…) 去年ギックリ腰で出れなかった倫子さんの夫の海さんは、今年は見事に復活していた。 よく見ると、女性陣の中に確かに倫子さんの姿があった。 『特別ルールを説明する! 『瞳の指輪』と『薫子の指輪』の紙を取った者は、指輪を受け取ったら一人で戻ってこい、以上!』 ヨネおばあちゃんの言葉が終わると同時に パァン! 遠くでスタートを知らせるピストルが鳴った。 (『一人で』って絶対有利だ) 私は、俊彦が私よりも瞳さんか薫子さんを選んでくれる事を祈った。 ヨネおばあちゃんは実況はしないから、様子が… 「…オォ〜!」 ? 俊彦がダッシュしてくる。 「蝶ォ〜子ォ〜!」 「わ、私?」 俊彦は、私の名前を叫びながら走っていた。 「瞳さん!」 俊彦のすぐ後ろから雅彦が叫んだ。 俊彦と雅彦は、スピードはほぼ互角だった。 前へ |次へ |
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