《MUMEI》
怒りのオーラ
先生の 好意に甘え、哀ちゃんに 食事の提案をした。


「え、でも 鶴野さん…」


俺は 事情を説明し、封筒を 取り出した。


彼女の 顔色が みるみる変わり、「あっ!」と 叫んだ。


俺の 手の中の 封筒から 1万円札が まるで 生き物のように 出ていき、空中で消えた。

「はあ?」
俺は 間抜けな 声を出してしまった。


院長先生の好意が、無になった瞬間だった。

怒りの言葉を 発しようと した時…


…ブチッ…
それは 俺の隣から 聞こえた。


俺は 三輪さんじゃないけど 凄まじい オーラが 見えた気がした。怒りのオーラだ。


「あ、哀ちゃん?」
おそるおそる 俺は 声を掛けた。


哀ちゃんは むんずと 俺の 腕を掴み 引き摺るように 俺を 連行した。


目的地は 俺のマンション。


何故? 俺のマンション?意味不明だよ、哀ちゃん、だけど 怖くて 聞けない俺(笑)


これから 長い一夜が 始まる。

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