《MUMEI》

「…ふぅ。」


心を落ち着かせて、店に入る。


「いらっしゃいませ!!お一人様でいらっしゃいますか?」


「あ、待ち合わせしてんすけど。」


「あ、は〜い。あちらの席でお待ちですよ。」


「あ、ども。」





「…よっす。」


「よっす。」


「…何でミルキーウェイ?」


「なんとなく。ご飯食べたかったし。」


「…あ、そすか。」


「そっす。」


「…」


会話がね〜。


「あ、これ金。」


「…うん。」


「…」


気まずい…


無意識にタバコを手にとった。


「ここ禁煙席だよ。」


「え…?あ、わり。」


「…小太郎タバコ吸うんだ。」


「まぁ、色々あってね。」


「…何かやだ。」


知らね〜よ…。


「…何でコーチやってるの?」


「頼まれたから?かな?」


「社会人でもやってるんでしょ?」


何で皆僕のこと詳しいんだよ…


「海南クラブでやってる。」


「高校卒業したらハンドはやる気ないって言ってたのにね。」


「…そうだっけ?」


「そうだよ!!だから大学行かなかったんでしょ!!一緒の大学行くって言ったのに…。」


「…秀皇ではやりたくなかったんだよ。」


「何で!?強豪大学からスカウト来て断るなんてもったいないじゃん!!」


「別に。今楽しいし。」


「だったら…」


美紀が話そうとしたのを遮って言い返す。


「僕の!!」


「!?」


「僕の道は、僕が決める。」

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